独特で愛嬌のある風貌、かわいい肉瘤、ゆったりと泳ぐその様はまさに王様です!
金魚会のセレブならんちゅうですが、飼育環境の変化や病気に弱く、意外にデリケートな一面もあります。
らんちゅうの成長過程で罹りやすい病気や治療法を勉強していきましょう。
黒子
らんちゅうの稚魚は、青子→黒子と段階を経て成長していきます。
黒子になってしばらくすると徐々に色が付き始めます。
そして肉瘤(カシラ)の形成、らんちゅう独特の形状をした尾ひれも発達してきます。
黒子の期間というのはらんちゅうにとって大事な期間で、特に肉瘤(カシラ)の土台ができる時期と言われています。
色変わり(褪色)の時期までにできた肉瘤をベースにして少しずつ盛り上がっていくため黒子の時期が飼育者にとって(特にブリーダー)勝負の時期と言えるでしょう。
黒子時の病気
黒子特有の病気はありませんが、らんちゅうにとって黒子の時期はその後の成長にとても影響のある時期です。
らんちゅうの病気で罹患率の高い病気は、「エラ病」「白点病」「ヘルペスウイルス症」の3種です。
エラ病は人間にとって肺の病気と同じで、悪化すると呼吸不全で生命にかかわります。
主な原因は水質汚染など飼育環境であることが多く、完治させることが難しい病気です。
白点病は体表一面に白いゴマを散らしたような斑点が出始めます。
最終的には白点で埋め尽くされ呼吸困難に至ります。
原因はほぼ水温低下にあり水温の上昇で回復します。
ヘルペスウイルス症は温度変化の激しい春、秋によく発生し、金魚類のみに感染する病気です。
ウイルスの感染力はとても強力で、対応が遅れると水槽内全滅もあり得る恐ろしい病気です。
黒子期のらんちゅうは一度病気になってしまうと回復には相当の時間がかかりますし、食べ盛りの黒子期に十分な栄養を摂らないために体長や肉瘤の大きさに悪影響を及ぼします。
飼育者は注意深く水槽を観察しいつもと違う「何か?」(今日は動かない、動きが遅い)を察知しましょう。
病気の治療
らんちゅうの病気を治療する方法で、一番一般的なものは食塩水による『塩水浴』です。
塩水浴と言っても海水のような塩水ではなく濃度が0.5~0.7%の塩水浴を基準に、エラ病など症状が分かっているものは0.5%の濃度の『食塩水法』を行います。
塩水浴で効果がない場合は薬物療法を行います。
らんちゅうの病気で一番魚体に負担が少ないといわれているのが『エルバージュ』です。
ペットショップやホームセンター(ペットコーナーがある)でも入手可能です。
エルバージュに次いで負担が少ないのが『メチレンブルー』で、取り扱いも上記エルバージュと同じで手に入りやすい製品です。
『マカライトグリーン』は毒性が強く、らんちゅうに負担が大きな製品です。
使用量を間違えると逆にらんちゅうの病状を悪化させるだけでなく生命の危機を招きます。
まとめ
黒子の時期は、らんちゅうの体格形成、肉瘤形成、ヒレの成長と褪色から成魚になるまでの過程で、一番重要な時期かもしれません。
飼育者は黒子の時期から、環境や、らんちゅうの健康管理を慎重に行い、立派で、優雅な、個体を形成する手助けをしなければなりません。
さながらアイドルを育てるプロモーターのような手腕が試されます。
そして何より、かわいいらんちゅうのため手塩にかけて育てていきましょう!